江黒真弓ブログ:オランダからの便り

江黒真弓ブログ:オランダからの便り

2011/12/16 オランダで出産しました

無事に長男を出産しました

気がつけばもう師走。2011年も残りわずかとなりました。日本も寒くなってきたと聞きました。 オランダは去年の極寒と比べたら、日中8度前後と、まだ寒さにも余裕があります。 去年の今頃は大雪で、車の運転を戸惑った覚えがあります。

さて、長い間ブログの更新を怠ってしまいました。実は、9月末にオランダにて出産を経験しました。 ここオランダでは、産婦人科ではなく、助産院に通うのが普通で、約40%の妊婦さんが自宅出産をします。 もちろん、病院での出産も選択できるのですが、私は始めから自宅を希望していました。 なかなかお産が進まないなどの緊急時は、病院に移動しなくてはいけないのですが、なぜか私は無事に進むと 確信をしており、リラックスできる自分のベッドで産みたかったのです。 お産の前日まで、主人とドライヴをして近くの港町まで出かけていました。 当日も、私が陣痛の痛みに耐えてる中、私が温かいお湯につかれるよう、 主人はまだ完成してなかった新居のお風呂のタイルはりを終わらせるという自宅ならではの出来事。 陣痛が5分おきになった時に、担当の助産婦さんが自宅に来てくれて、無事に長男を出産しました。 出産にはクラームゾルフといって、産褥ヘルパーの人も立ち会います。そしてクラームゾルフの方は、約1週間 自宅で私と子供のケア、掃除や洗濯、食事の世話をしに来てくれるのです。 オランダでお祝いするシンタクラースオランダは、出産費用も、このヘルパーさんの費用も保険が賄ってくれる、すごく親切なシステムです。 クラームゾルフの方には、本当にお世話になり、長男の2番目のママと呼んでいます。 産まれたばかりは、本当にこの子が自分のお腹の中にいた子なのかと、不思議でしたが、 段々と実感がわき、慣れない子育てに試行錯誤しながら、あっという間に2ヶ月が過ぎました。

12月5日にオランダでお祝いするシンタクラースが、近所のショッピングセンターに来ていたので、 息子も一緒に写真を撮ってもらいました。 最近はたくさん笑うようになり、手遊びも始まりました。苦労もあるけれど、子供からもらう笑顔の方が ずっとずっと多いです。子育ての合間をみて、そろそろピアノの練習も再開です!


2011/09/08 コンサート終了

ユトレヒト古楽音楽祭8月28日(日)と9月4日(日)、2週にかけてThalia Ensemble(タリア・アンサンブル)のコンサートを行いました。 タリア・アンサンブルはフォルテピアノとオーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットの組み合わせが中心となり、 様々な形態の室内楽を演奏するグループとして、今年から活動を開始しました。もちろん、全て古楽器を使用しています。8月28日は、ユトレヒト古楽音楽祭の中のフリンジコンサートという枠で出演しました。歴史のある大きな音楽祭なので、 観客の方たちの耳も大変肥えています。でも、決して厳しい感じではなく、温かく古楽を自然に楽しむ下地が完全に根付いているように思いました。 ユトレヒトの街には、数々の歴史的建造物が保存されていて、その一つである、Fundatie van Renswoudeという18世紀に建てられた、孤児院のサロンで演奏しました。ロココ調の素晴らしい部屋で、満員以上のお客様と、用意されたオリジナルのローゼンベルガー作のフォルテピアノに興奮しつつも、楽しめた演奏会でした。 9月4日は、アムステルダムのヴィンセンティウス教会(Vincentiuskerk)で、私のフォルテピアノを運び入れてのコンサートでした。 こちらは、楽器の運搬、調律も自分たちで行ったので、エネルギーを使いましたが、その分達成感も違います。 お客様の雰囲気によって、反応も違うので、ユトレヒトとの違いに始めは戸惑いましたが、後半はリラックスして音の対話を楽しめたと思います。 いずれのコンサートもモーツァルトとベートーヴェンのピアノと木管の為の5重奏を演奏しました。 演奏前も後もフォルテピアノの運搬に忙しく、写真を撮り忘れてしまいました。 ユトレヒトでの写真を掲載致します。

タリア・アンサンブル http://www.thaliaensemble.nl/
Fundatie van Renswoude http://www.fundatievanrenswoude-utrecht.nl/

ユトレヒト古楽音楽祭

2011/08/23 イタリア、スイスの旅

マッターホルン先週、イタリアのコモ湖、スイスのZermatt, Thunという所に旅行に行ってきました。 コモでは友人宅に宿泊させてもらい、おいしいパスタとオランダでは味わえなかった太陽を満喫し、古くからの友人と楽しいひと時を過ごしました。 イタリアからスイスに行く道中から、素晴らしい景色に圧倒され、標高4478mあるマッターホルンの麓Zermattでは、さらに絶景が待っていました。 それに登山、といっても、途中までロープウェイで行き、100m弱登っただけですが、本当に空気と水がおいしくて、 体が喜んでいました。Zermattは、日本人に大変人気があるようで、団体の観光客の方達もたくさんいました。

Thunには、エメラルドグリーンの美しい湖があります。それに中世の町並みがそのまま残されていて、 まるでメルヘンの世界に迷い込んだようでした。アルプスの山々の氷河が解けて、作り出す川や洞窟。 日本では見た事のないスケールの洞窟に、感動するばかりでした。 スイスよりドイツを通過し、友人やその娘さんと楽しい1日を過ごして、オランダに帰ってくると、 雨と気温18度というまるで秋のような天気に、一気に現実に。エネルギーを蓄えたので、月末のコンサートへ向けて練習再開です。写真はマッターホルン、コモ13世紀に建てられたSt. Abbondio教会、Thun湖、Aareschlucht洞窟、アルプホルンの演奏、Thun城です。

St. Abbondio教会、Thun湖
アルプホルンの演奏、Thun城

2011/08/12 引っ越しました

大変長らくブログの更新を怠ってしまいました。オランダの夏らしい夏はすでに過ぎ去り(?)最近は20度越えるか越えないかの気温で、もう秋の気配すらします。日本は暑いと思いますが、みなさん夏バテされていませんか? さて、この夏にアムステルダムよりホールン(Hoorn)という街に引っ越しをしました。 ホールンは、アムステルダムより北に35キロ。元々海だった所に堤防を作ったため、淡水になってしまったマルケン湖に面した、歴史のある街です。東インド会社の主要な港として栄え、今でもたくさんのボート、ヨット、帆船などが停留するハーバーがあります。 アムステルダムの賑やかさとは違って、落ち着いた古き良き時代の活力も感じられる街です。SLが走っていたり、夏の間はチーズ市が開かれたりと観光にも力を入れているようです。 まだまだ新居は改装が必要で、段ボールの山にも埋もれていますが、少しずつ整理していこうと思います。

ホールンに引っ越し
ホールンに引っ越し

2011/04/30 ウィーンに行ってきました

Schloss Kremseggフォルテピアノのコレクションイースター休暇は、ヨーロッパどこもすごく天気が良かったようです。 オランダも暑いくらいに気温が上がり、チューリップがもう咲ききってしまいました。 この休暇を使って、ウィーンに旅行に行ってきました。義妹が住んでいるので、 彼女の家に泊めてもらうこともでき、ゆっくりと楽しめました。 ウィーンから2時間半ほど電車で行った、クレムスミュンスターという場所にある、フォルテピアノのコレクションScholoss Kremseggも訪ねました。なんと、実際に弾かせてもらうこともできました。数十台のピアノを自由に弾かせていただき、ピアノから得たパワーは計り知れません。 そして、ウィーン市内にも溢れる音楽家ゆかりの場所。モーツァルトが住んでいた家、シューベルトの産まれた家、ベートーヴェンの家。 ベートーヴェンが散歩をして、田園交響曲のアイディアを得たと言われている、小川沿いの小道を歩いた時は、どんな想いでここをベートヴェンが歩いていたのかと想像し、とても興奮しました。写真はフォルテピアノコレクション(Schloss Kremsegg)。

Schloss Kremseggフォルテピアノのコレクション

そして、お皿からはみ出している巨大なウィーナーシュニッツェルや、カフェでケーキやおいしいコーヒーを堪能したり、 できたてのワインを出すホイリゲに行ったり、食も堪能。 ウィーンに住む友人にも再会し、とてもゆったりと、そしてじんわりと楽しむ旅になりました。下の写真は、Cafe Central のケーキとコーヒー/シュテファン大聖堂/ベートーヴェンが散歩した小道。

Cafe Central のケーキとコーヒー/シュテファン大聖堂/ベートーヴェンが散歩した小道

2011/04/08 ドイツでの演奏会

Bad Krozingenフォルテピアノのコレクション

地震後、不安な生活を送っていらっしゃる方が大勢いらっしゃると思います。 オランダでもたくさんのチャリティーコンサートやイベントが行われ、募金活動をしています。 私も小学校でのコンサートをして、わずかながら義援金を送らせていただきました。 実は、地震のあった翌日に、ドイツ、フライブルクの近くのBad Krozingenという小さな町で、 主人と二人のデュオのコンサートをしてきました。 そこには16世紀に建てられたお城があり、有名なフォルテピアノのコレクションが収められています。 2年前にも訪れて感動し、そのコレクションとコンタクトを取り、今回の演奏会が実現しました。 当日は2台のフォルテピアノ、シュタイン(1790年製)とローゼンベルガー(1810年製)を使わせていただきました。 どちらもオリジナルのまま保存されていて、豊かな響きに魅了されました。 コントロールは難しいのですが、自分がイメージした音以上のニュアンスがピアノから返ってきて、 本当に会話をしているような気持ちになるのです。楽器に夢中で、自分たちの写真を撮るのを忘れてしまいました。 手前のピアノがシュタイン、奥にあるのがローゼンベルガーです。 地元のテレビ曲も収録に来ていたり、お客様にもナチュラルホルンとフォルテピアノの響きを堪能していただけたと思います。

Bad Krozingenフォルテピアノのコレクション

2011/03/15 オランダより祈りを込めて

今回の東北地方太平洋沖地震、私はコンサート出演のため、車で移動中に ラジオの放送で知りました。急いで携帯電話のインターネットで情報を確かめると、信じられないような大きな地震ではありませんか。 行田の自宅に電話をしてみるものの一向につながらず、不安の中、コンサートを終えました。 帰宅途中にやっと電話がつながり、ほっとするものの、この事態にとても心を痛めています。 その日の夜から次のコンサートのためドイツに居ましたが、ドイツでも盛んに日本の地震の報道、 特に原子炉爆発の情報を伝えられていました。オランダのニュースでも大々的に報道されています。 会う人、会う人に、家族は無事なのかという問い合わせを頂き、義理の家族の親戚、友人からも 日本のことを心配してもらっています。みなさんが応援してくれていることは、とても心強いですが、遠くオランダから、わずかな募金くらいしかできない私の無力さも感じます。 オランダ人は、プロテスタントの精神から、普段は倹約生活を送っていますが(ケチともいいます!) 、いざという時の募金には、莫大な金額を寄付する国民性です。 こちらの音楽仲間が募り、チャリティーコンサートも企画中とのこと。 私も協力できたらと思っています。 犠牲になられた方々のご冥福、そして被災され、避難生活をされている方々、早くご家族と会えますように。 心から応援しています。

2011/02/23 アムステルダムのコンサートホール

さて、今回は、コンサートホール事情です。たくさんの小さなコンサートスペースや教会などがコンサート会場に使われますが、 アムステルダムで大きなコンサートホールと言えば、コンセルトヘボウが筆頭にあげられます。 このホールは、1881年に行われた建築コンクールで当選したアル・ファン・ゲントのデザインに基づき、 ネオ・ルネッサンス様式で建てられました。初演は1888年に120人の音楽家と600人の合唱で行われたそうです。 その後、地盤が緩いこともあり、何度も修復、補強されて今の形になっています。響きもとても良いです。 中は、大ホールと小ホール、さらに小さなコンサートスペースもあり、豪華な装飾で飾られています。 といっても、パリのオペラ座ほどではありませんが。 何と言っても有名なのは、コンセルトヘボウオーケストラでしょう。 世界有数のオーケストラとして、日本でも有名です。 コンセルトヘボウでは、毎日のように、オーケストラ、室内楽、たまにジャズや民族音楽、子供むけコンサートが 開かれていて、学生のころは、開演間際に売り出される7ユーロのチケットで、随分コンサートに通いました。 普段は、あまり洋服に気を使わないオランダ人。コンセルトヘボウに来る時は、紳士淑女が、目一杯おしゃれをしています。(写真左がコンセルトヘボウの正面、右が大ホールの中の様子です)

コンセルトヘボウ http://www.concertgebouw.nl/

コンセルトヘボウ

そして、数年前セントラルステーションの裏側に、新しい音楽ホール、Muziekgebouw aan t'Ij (湾に面したコンサートホールという意味) がオープンしました。こちらは、海の上に建っていて、橋を渡って入り口に向かうという、 現代オランダ建築らしい構造です。ジャズ専門のBimhuisというホールとつながっており、 様々なジャンルの質の高いコンサートが、たくさん行われています。 それにしても、この建築様式の違い、おもしろいですね。

Muziekgebouw aan t'Ij http://www.muziekgebouw.nl/muziekgebouw/Over_het_Muziekgebouw/

Muziekgebouw aan t'Ij

2011/01/20 パリに行ってきました

先週パリに行ってきました。アムステルダムからタリス(電車)で3時間、 夫がオペラの仕事でパリに滞在しており、用意されていたアパートメントホテルなる、 キッチン付きの豪華なホテルに宿泊できました。 もうチケットは売り切れのオペラ座(オペラ・ガルニエ)での、ヘンデル「ジュリアス・シーザー」を、 ラッキーなことに公開リハーサルのチケットを頂き、鑑賞してきました。 きらびやかで信じられないような豪華さだけれど、これも人の手によって建てられたオペラ座で、 ヘンデルという私達と同じ人間が作曲した、珠玉のような美しい曲ばかりを聴けたこと。 そしてその音楽を演奏、聴きにきている人達。何とも言いがたい感動を覚えました。 驚いた事に、国がオペラ座の興行に当てる年間の予算は何と100億だそうです。 これが、日本との文化レベルの差です!!! アムステルダムでルームシェアをした友人達、大学の同級生にも会うことができたり、 フォルテピアノコレクションをパリ郊外に見に行く事もでき、とても充実した旅になりました。 この写真は、オペラ座の正面、シャガールが描いたことで有名な天井、 建物中の装飾、そしてシーザーとクレオパトラの最後のシーンです。右下の写真はノートルダム大聖堂の前で(着膨れしております。。。。)

これは、プランタンの屋上から見た景色。遠くにエッフェル塔やオペラ座が見えます。

マルシェ(市場)の様子です。最後の写真の丸いものは、全部チーズですよ!


2011/01/07 アムステルダム No.4

新年明けましておめでとうございます。 今年も少しずつですが、このブログを通して音楽活動、オランダの生活や文化などお伝えしていけたらと思います、どうぞよろしくお願いします。

さて、今回はアムステルダムの家についてです。アムステルダムは町中、運河が通っています。水がある景色というのは、街の光が反射したり、水鳥が身近にいたりととても豊かなものです。そんな運河の街、アムステルダムの特徴の一つにボートハウスがあります。船が家になってしまうのです。水に浮いているので、風が強い日は多少揺れたりしますが、中に入ってみると意外と広くて豪華なのですよ。住所登録もでき、ポストもきちんと届きます。私の友人の一人は、なんとボートハウスを自分で作ってしまいました。そして、普通のレンガの家はどうなっているかといいますと、玄関が共有で階ごとに住んでいる人が分かれているのがほとんどです。同じ階でも部屋ごとに貸し出し、キッチンやバス、トイレが共有というタイプも多いです。あまり物件は多くないので、アムステルダムでの部屋探しは本当に苦労します。家賃も東京とあまり変わらないのでは。。。 写真に映っているのは、「船」ではなくボートハウスの数々です。

アムステルダムのボートハウス
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