江黒真弓ブログ:オランダからの便り

江黒真弓ブログ:オランダからの便り

2013/11/20 アントワープ音楽院

オランダは冬時間になり、日が極端に短くなった上、強風や雨の日が続き暗くてながーい冬の到来を感じます。 気温も今日の朝は3度。厚手のコートにマフラー、帽子が欠かせません。 さて、近況報告です。この10月よりベルギーのアントワープ王立音楽院(現在の正式な名称はArtesis Plantijn Hogeschool Antwerpen) にて、ピート・クイケン氏のアシスタントとしてフォルテピアノの指導を行わせて頂いています。 妊娠、出産、育児が続き、音楽から少し距離ができてしまったように感じていた今日この頃ですが、 こんな責任ある大役を任せて頂き嬉しく思っています。 レッスンはモダンピアノ科の生徒さんが副科として選択し、今年は9人。私の間違いだらけのオランダ語(アントワープはオランダ語圏なのです) でも理解してくれる、心強い生徒さんばかりです。初めてフォルテピアノを弾く生徒も3人いるので、基本のテクニックから、 少しずつ前進していって欲しいと思います。 生徒さんと共に私も勉強あるのみです。

アントワープ王立音楽院にて、ピート・クイケン氏のアシスタントとして
アントワープ王立音楽院

2013/10/29 楽器博物館でのコンサート

先日、オランダ北部フローニンゲンの近くにある、楽器博物館にて、クラリネット奏者のディーデリック・オルネー氏とコンサートをさせて頂きました。 この楽器博物館では、個人で集めた750にもなる様々な楽器を展示して、その楽器を使ってのコンサートなども開かれています。 ディーデリックは、5本のクラリネットを使って演奏し、クラリネットの歴史を辿るレクチャーコンサートのようなものでした。 私は、1785年製のテーブルピアノと、1855年製のブロードウッドというロマン派時代のイギリスのピアノ2台を弾きました。 クラリネットは、時代によって指使いやD管やB管など管が違い、名手ディーデリックもとても準備が大変そうでした。 でも、さすが本番はバロック、シャリモー、バセットホルン、クラシカルクラリネット、現代クラリネットを吹きこなし、しかも明確な説明も交えて、ばっちりと決めてくれました。私とディーデリックは、タリア・アンサンブルで一緒に演奏していますが、今回は初めてのデュオ。言葉で語らずとも、音楽で対話ができる、貴重な共演者です。 本番は、私もできる限りのサポートができたかと思います。そして、ピアノソロも1曲。シューマンのアラベスクを弾きました。 歴史的なピアノと共に、様々な時代の音楽を勉強すると、バロックや、古典派、ロマン派とそれぞれの様式感が自然と身について来ます。 様式と作曲家の特徴の違いを、演奏しながらたっぷりと楽しめた、そして博物館にある楽器を弾かせて頂くという好機にも恵まれて、 充実したコンサートとなりました。

楽器博物館 Museum Vosbergen http://www.museumvosbergen.nl

クラリネット奏者のディーデリック・オルネー氏とコンサート
5本のクラリネットとピアノ

2013/08/21 ドイツ旅行

先週、家族で4泊5日の旅行に出かけました。ドイツのトリーア(Trier)とルクセンブルク、フランスの国境の近くにある自然公園に家を借り、そこに滞在しました。個人のお宅の隣に貸し別荘のようにしている家で、キッチンも部屋数もたくさんあり、しかも料金がとてもお手軽で大満足。すぐ近くに山が広がり、息子達を連れて夕食後のお散歩がとても楽しかったです。そしてドイツで一番古い歴史を持つトリーアは、ローマの遺跡が沢山残っており、世界遺産にも登録されています。巨大な浴場跡に当時の優雅な入浴をイメージしようにも、あまり想像がつきませんでした。全日お天気にも恵まれ、帰りはケルンの友人と2ヶ月の赤ちゃんに会ったりと、とても良いリフレッシュになりました。

自然公園
トリーア
トリーア

2013/07/19 Thalia Ensemble

日本は猛暑のようですね。熱中症で倒れている方も多いとか。オランダも最近やっと夏らしい日が続いています。 と言っても、最高気温28度でものすごく暑い日と報道され、夜は気温も下がってクーラーが無いオランダの家でも 普通に熟睡できる程度です。湿度が無く、からっとしているので過ごしやすいです。 さて、7月11日から13日に行われたイギリス、ヨーク国際古楽コンクールで私達のグループThalia Ensemble(タリア アンサンブル) (www.thaliaensemble.nl) が見事優勝しました!と言って今回は私は演奏していないのですが、木管5重奏での快挙に、とても興奮しています。 賞金と来年イギリスのLinn Recordという会社とのレコーディング確約、そしてヨーク国際古楽祭でのコンサートを頂きました。 私も演奏で何かお手伝いできる機会があるといいなと思っています。 音楽活動も続けながら、年子育児、本当に奮闘です。でも、本当にどんどん成長して行く息子達に、 教わる事もたくさん。子供の目線でしか発見できないこと、新鮮に感動できることを思い出させてもらっています。 写真は、じゃれあうようになった二人、ヨーク国際古楽コンクールの父親の演奏を、長男がオンラインで聞いている、 スキポール空港に飛行機を見に行った時のものです。

http://www.thaliaensemble.nl 私達のグループThalia Ensemble(タリア アンサンブル)
http://www.ncem.co.uk/?idno=941 (ヨーク国際古楽音楽コンクール)
http://new.livestream.com/YorkEarlyMusic/YoungArtists (8月24日までコンクールの本選の模様が見られます)

Thalia Ensemble

2013/05/07 シーズン到来!

オランダのチューリップ畑

やってきました!チューリップの季節です。
今年の3月がとても寒かったため、開花はいつもより遅めですが、 暖かく快晴の続く今週は、あちこちでチューリップの絨毯が見られるようになりました。家から車を10分も走らせると、 このような景色が広がっています。 球根に栄養を行き渡らせるため、花はすぐに刈り取られてしまいます。なので、この絨毯が見られるのも数日といった所でしょうか。 高速道路を走っていると、左右にピンク、黄色、紫、赤などのカラフルな模様が目に入ってきて、つい脇見運転をしてしまいます。

デ・ライプ

日本から友人が訪ねてきたので、一緒にチューリップや風車を見たり、デ・ライプ(de Rijp)という街にも遊びに行きました。 ここは、17世紀から19世紀にかけて捕鯨で冨を得た街です。古い街並みのあちこちに、クジラのしっぽのモチーフが飾られていたり、 教会には、沢山の富豪達が寄付をした証として、ステンドグラスに家紋が組み込まれているものもありました。 ボートと羊が見える写真は、2012年2月20日のブログで載せた運河でスケートをした所と同じ場所です! この船着き場に座ってスケートを履きました。季節によってこうも印象が違うものですね。

デ・ライプ

2013/04/23 1年ぶりの日本

2週間前まで雪が散らついていたここオランダにも、水仙が咲き、もうそろそろチューリップのつぼみが膨らみそうな 気候になってきました。3月は小さなアンサンブルグループの中でチェンバロを弾くコンサートが6回あり、 年子育児との両立にとても苦労しました。まだ母乳もあげているため、控え室で搾乳をし、休憩中にチェンバロの調律をして、 あっという間に出番という感じの、ドタバタを繰り返しました。

日本の桜そして、最後のコンサートが終わった次の日、日本に向けて家族4人で出発! 次男は初めての飛行機。長男は2回目の日本でした。 今回は夫が18世紀オーケストラの日本ツアーに参加するため、仕事半分、休暇半分で10日間という 短めの滞在でしたが、何年ぶりかの桜も見る事ができました。桜の花は、やはり日本人の心です! そして、息子達が家族に温かく迎え入れられ、笑顔を見せてくれている時が、何よりもリラックスできました。 私の祖母がひ孫の子守りをしてくれる。長男の成長した姿も見せられたし、次男の顔も見てもらえた。 オランダでは核家族が当たり前なので、とても贅沢な時間に感じました。 大人数で子供の成長を見守ることは、子供の社会性を身につけるためにも、良い環境だと思います。 日本でも核家族が増える中、もっと続けていくべき習慣ではないでしょうか?

夫の参加したコンサートも、偉大な指揮者フランス・ブリュッヘン氏の力とオーケストラメンバーの気持ちが一つとなった、 素晴らしい演奏でした。私のピアノを修復して下さった、エドウィン・ブンクさんは、1回のコンサートの為に 彼のコレクションの一つである、エラール1837年製をオランダから運んでのお仕事でした。 キラキラと真珠のような音と、ショパンコンクール優勝者のユリアンナ・アヴデーエワさんの自然で、でも引きつけられる演奏に、 しばし興奮! コンサート後、楽屋にオーケストラメンバーの友人を訪ね、日本で会える特別感を分かち合いました。
ただ、長男には飛行機の長旅、時差、慣れない大人数の家、畳の部屋で寝る環境など、短期間では消化しきれなかったようで、 日本滞在中は何とか頑張っていたものの、オランダに戻ってきて数日、たくさん泣きました。 大人でもつらい長旅。まだ2歳にも満たない息子には、相当なものだったのでしょう。 やっと数日前から、普段の息子に戻り、親もほっとしています。ちなみに次男は、時差も無く、飛行機でも良く寝て 一番元気。二人目とはこんなものなのでしょうか?次回の帰国はいつになるかなあ。

18世紀オーケストラ http://www.kajimotomusic.com/jp/artists/k=173/
エドウィン・ブンク http://www.fortepiano.nl/

日本で休暇

2013/01/14 ご挨拶

次男を出産しました

遅くなってしまいましたが、明けましておめでとうございます。今年も少しずつオランダからお便りさせて頂きます。

実は、昨年11月に次男を出産しました。年子で男の子二人の子育て。毎日がサバイバルです。幸い次男は良く寝てくれる子なので助かっていますが、夫が居ない時、タイミングが悪いと片手で授乳、もう一方でご飯を食べさせるといったことになります。でも、二人になってからの方が、子供をかわいいなと思う事が多くなりました。長男は赤ちゃんに会った時からニコニコで、いいこいいこをしてくれ、その後慣れるのには少し時間がかかりましたが、今では落ちていた次男の靴下を拾って届けてくれたり、手を握ってあげたりしています。見ていて本当に微笑ましいです。二人の成長と共に、私も前進できたらと思います。そんな中、来週はコンサートがあります。はたして練習間に合うのでしょうか?

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